糖尿歯科(医療連携)

糖尿歯科(医療連携)

歯周病とは

歯周病とは

細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患で、歯の周りの歯ぐき(歯肉)や歯を支える骨などが溶けてしまう
病気です。歯周病とは、歯肉炎・歯周炎の総称です。

  • 健康な歯

    健康な歯
  • 歯周病

    歯周病
歯と歯肉の境目(歯肉溝)の清掃が行き届いていないでいると、そこに多くの細菌が停滞し、歯肉の辺縁が炎症を起こし、
赤くなったり、腫れたりします。
そのほとんどが、痛みをともないません。そのまま進行すると膿が出たり、歯が動揺してきて、最後には歯を抜かなければならなくなります。

歯周病が体に及ぼす影響

歯周病が体に及ぼす影響

歯周病は口の中だけではなく、全身の健康と、密接な関わりがあることが最近の研究で明らかになってきました。
米国歯周病学会の報告では、歯周病にかかっている人が心臓発作を起こす危険度は、そうでない人の2.8倍、脳卒中は3倍、そして歯周病のある人の早産率は7.5倍も高いそうです。

歯周病菌は毒性が高く、その毒素が口の粘膜から血管に入り、体の中を運ばれ、さまざまな病気を引き起こしていくのです。
とくに歯周病と糖尿病との関係はよく知られており、糖尿病の人が歯周病にかかりやすいことや、歯周病菌がインスリンの働きを阻害するという影響が知られています。

歯周病と全身疾患の関係

歯周病と全身疾患の関係

歯周病と全身疾患の関係を表すイラスト

歯周病があると糖尿病が悪化します

歯周病があると糖尿病が悪化します

  • 歯周病と糖尿病の関係

    歯周病と糖尿病の関係

    糖尿病と歯周病は関連性が高く、お互いに悪影響を及ぼします。糖尿病は体の免疫力が低下するので、感染症にかかりやすくなります。歯周病は感染症ですから、糖尿病の患者さんは歯周病が急速に進行します。さらに、歯周病の原因菌は血糖値が高いと繁殖しやすくなるので、糖尿病の患者さんは歯周病を持つ割合が高く、重症度が高いと言われています。

    一方、歯周病の患者さんは糖尿病が悪化しやすくなります。歯周病病巣から炎症性サイトカインが産生されると、血糖値を下げるホルモン「インスリン」の働きを阻害し、治療に悪影響を与え続けるからです。このように、糖尿病があると歯周病を悪化させ、歯周病があると糖尿病を悪化させるのです。
  • 対策・予防

    対策・予防

    糖尿病の初期段階は自覚症状があまりなく、糖尿病だと気がつかないことが少なくありません。歯周病などで来院されている患者様の中には、糖尿病であることに気がつかず、糖尿病の治療を受けていない方も多いのです。糖尿病になっていると、独特な口臭やお口のトラブルがみられることもあります。糖尿病でなくても糖尿病予備軍ということもあります。

    まずは、現状を把握することが大切です。そのためにも、定期的に歯周病のチェックを受けましょう。生活習慣を見直し、歯周病を予防する事が糖尿病を予防することにつながります。
インスリンの機能が鍵!

糖尿病とは

糖尿病とは

血糖値(血液中に含まれるブドウ糖)が慢性的に高くなる病気です。

食べ物が小腸で消化される時、ブドウ糖が作られ血液にのってインスリンが各組織細胞へと運びエネルギー源になったり、脂肪やグリコーゲンとしてたくわえられます。
インスリンは、体の中で唯一、血糖を下げるホルモンです。
食後に血糖値が上がらないよう調整しています。

糖尿病は、このインスリンが不足、作用不足を起こし、血液中にブドウ糖がありあまり、高血糖状態になります。
そうして、体中の血管を傷つけ、細くしたり、やぶれやすくさせたり、ボロボロにしていくのです。
結果、ブドウ糖は細胞にも届けられず、エネルギーがいきわたらないため、さまざまな合併症を引き起こします。

糖尿病の6大合併症

糖尿病の6大合併症

  • ①糖尿病性神経障害

    多覚神経障害
    感覚神経障害(足の先の違和感からむくみ、冷え、しびれ)
    自律神經障害(下痢、便秘、頻尿、失禁、低血糖時無自覚、知覚鈍麻は特に要注意!)

    単神経障害
    麻痺
    顔面神経麻痺、外眼筋麻痺(物が二重にみえる)
  • ②糖尿病性網膜症

    目の奥の網膜にある血管から出血が起こったり、異常な血管が網膜につくられたりすることで、視力の低下、視野の欠け、失明を
    起こします。
  • ③糖尿病性腎症

    透析を受けている患者さんの3人の1人が糖尿病が悪化して引き起こす病気です。
    毛細血管がダメージを受け、機能が低下すると、水分や老廃物がうまく排出できなくなるため、体にとって不要なものや有害物質が
    溜まり続けてしまいます。
  • ④糖尿病性足病変

    感染、神経障害、虚血により、足の変形、感覚障害、壊疽や骨髄炎、切断にいたる事もあります。
  • ⑤動脈硬化性疾患

    血管が硬くなり、弾力性が失われる状態に、LDLコレステロールがたまり、血管が狭くなります。

    脳血管障害
    脳梗塞(ろれつが回らない、ものが二重に見える、ふらふらするなど要注意!すぐ救急車を呼んでください。後遺症が残ることがあります)

    虚血性心疾患
    心筋梗塞、狭心症(痛みをともなう事が多いが、糖尿病の神経障害があると痛みを感じにくく、重症化しやすいです)
  • ⑥歯周病

    実は、糖尿病とは切っても切れない関係があります。
    糖尿病になると、細菌に対する抵抗力や組織の修復力の低下を起こし、口腔内の乾燥等が生じ、それらは歯周病を悪化させます。

    糖尿病だと
    ・歯周病に2倍以上なりやすい
    ・血糖値のコントロールが悪いと重症化しやすい


    歯周病だと
    ・細菌の毒素の影響で、血糖値のコントロールが悪くなる
    ・さらに、インスリンの働きを悪くしてしまう

    日々の歯磨きによるプラークコントロールに加え、届ききらない汚れを歯科(歯医者)で治療し、定期的、継続的に歯石やバイオフィルムの除去をしっかりする事が有効で大切です。

歯周病の治療

歯周病の治療

大切なのは、セルフケアとプロフェッショナルケア。大元の原因である歯垢(プラーク)や歯石を取り除くことです。

歯周病治療の流れ

歯周病治療の流れ

歯周病と全身疾患の関係を表すイラスト

①基本治療

①基本治療

歯周病の進行の程度に関わらず、初めに行われる治療です。
    • 原因である歯垢(プラーク)の除去(セルフケア・プロフェッショナルケア)
    • 歯石の除去、歯の根面の滑沢化(プロフェッショナルケア)
    • ぐらぐらする歯の咬み合わせの調整
  • プロフェショナルケア

    ハンドスケーラー(キュレット)
    ・歯石除去
    ・根面滑沢化
    ・細菌感染内組織の除去

    超音波スケーラー
    ・キャビテーション効果でポケット内の清掃
    ・歯垢(プラーク)、歯石の除去
    ・ポケット内に酸素を送り込む
  • セルフケア

    歯垢(プラーク)の除去をプラークコントロールといいそのほとんどはセルフケアでチェックします。

    セルフケアの歯磨きポイント

    磨く場所

    • 歯と歯の間
    • 歯と歯肉の境目
    • 奥歯の噛む面

    磨き方ポイント

    • 最初は鏡をみながら
    • 磨く場所に毛先が届いているか確認
    • 歯ブラシを軽くもち、歯面にあて、細かく動かす


②外科治療



②外科治療

基本治療で一部ポケットの深さが改善しない場合、手術で歯と歯ぐきのすき間の深さを軽減させたり、溶けて失われた骨を再生させることができる治療があります。
最後に

メインテナンスの大切さ

メインテナンスの大切さ

    • 歯磨きだけでは効果的な予防は難しい
    • 口腔内の変化に合わせた磨き方の見直しができる
    • 病気の予防と早期発見
定期検診、メインテナンスは1~3ヶ月、長くても6ヶ月に1度の頻度で受けるのが良いでしょう!

糖尿病とわかったら

糖尿病とわかったら

まずは血糖、血圧、脂質などのコントロールをおこないます。(薬物療法)
医師や管理栄養士の指導のもと行なわれる食事療法を基本に、さまざまな医療科との連携(医療チーム)と患者様と2人3脚で日常生活の見直しや規則正しい生活を送れるようタッグを組み、定期的な血液検査、口腔内診査や尿検査などを受け、
患者様自身が体調に目を向ける事がとても大切です。

当クリニックには、管理栄養士も在籍しております。食育、食事指導もおまかせ下さい。

お口の中を、健康な状態を保つためにするのが予防歯科です。痛みが出てから治療するのではなく、
『虫歯や歯周病にならないようにする』こと。これがとても大切です。
なぜなら、ひどくなってから治療を施しても、元の歯のように治すのは難しいことが多いからです。

毎日のブラッシングや歯科医院を通して行われるプロケアを受けることで、
ほとんどの虫歯や歯周病は未然に防ぐことができます。
ぜひお気軽にご相談下さい。

糖尿病連携手帳と糖尿病眼病手帳をご存知ですか?

糖尿病連携手帳と糖尿病眼病手帳を
ご存知ですか?

当院では、糖尿病連携手帳と糖尿病眼病手帳をご活用いただけます。
歯科の状態を記載することにより、病院やクリニックと歯科の連携をとりながら、よりきめ細かい治療の提供が可能です。
まだ手帳をお持ちでない方は、当院で無料でお渡ししておりますので、お気軽にお問い合わせください。
  • 糖尿病連携手帳

    検診する医師
  • 糖尿病眼病手帳

    背骨の骸骨標本

当院は連携医療機関です

当院は連携医療機関です

当院は、大阪けいさつ病院や、第二大阪けいさつ病院、大阪赤十字病院、大阪中央病院、大阪国際がんセンター、国立循環器病研究センター、大阪みなと中央病院、八尾徳洲会総合病院、京都市立病院、白鷺病院などと連携医療機関です。
内科及び外科と歯科の連携によってさらに歯周治療効果があがり、糖尿病の早期発見にもつながります。
また、現在糖尿病治療中の方で、今後歯周病治療を開始される方にも安心して治療を受けていただけます。
(治療に際しては主治医からの診療情報提供書が必要です。)