当医院での嚥下内視鏡検査(えんげないしきょうけんさ)は,内視鏡(ファイバースコープ)を用いて実施する嚥下機能検査です。
本検査には,場所(ベットサイドや在宅診療)を選ばずどこでも繰り返し実施できるという利点があります。
本検査には,場所(ベットサイドや在宅診療)を選ばずどこでも繰り返し実施できるという利点があります。
嚥下内視鏡(VE)検査は次の2つを目的として実施する検査です。
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嚥下内視鏡(VE)検査では、咽頭や喉頭の粘膜を直視することができます。
形態に異常がないか、また唾液や分泌物が異常に貯留していないかなどを確認することが可能です。
もし何らかの異常が認められる場合には、嚥下機能が低下している可能性も考えられます。
早期に発見することは、誤嚥などのリスク回避にも繋がります。 -
嚥下の様子を観察することにより、嚥下機能の状態を確認することができます。
早期咽頭流入、嚥下反射惹起のタイミング、咽頭残留、喉頭流入・誤嚥などを指標として評価を行います。
これにより、誤嚥を防ぎ安全に経口摂取できる食事の形態・食事の姿勢の調節などについてご提案することが可能になります。
また、摂食による誤嚥リスクを予防し食を安全に楽しむことを目的として行う「摂食嚥下障害のリハビリテーション(基礎訓練)」を実施した後の効果判定にも役立てることができます。
嚥下内視鏡(VE)検査は主に以下の3つの点についてチェックし、検査結果を評価していくものです。
① 嚥下運動の状況の確認
② 嚥下反射惹起の状況の確認
③ 気道防御機能
具体的には、次のような動作についてそれぞれ観察・評価を行います。
① 嚥下運動の状況の確認
② 嚥下反射惹起の状況の確認
③ 気道防御機能
具体的には、次のような動作についてそれぞれ観察・評価を行います。
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唾液貯留
食べる前から咽頭の中が汚れていたり、唾液や分泌物が異常に貯留しているような場合は、嚥下機能が低下しているサインかもしれません。
もし唾液や分泌物などの貯留が認められ、嚥下機能が低下していると思われる場合は、安全な食を確保するために「摂食嚥下障害のリハビリテーション(基礎訓練)」などを実施する必要がある可能性が高いです。 -
早期咽頭流入
着色水やゼリーなどの検査食を用いて、咽頭への流入を見ていきます。
咽頭流入とは、お口の中に水分を含むものを保持する力が低下し、咀嚼中にむせてしまうことを指します。
仮に声帯の上の辺りまで入り込んだとしても、通常であれば咳をして出すことができますが、機能の低下が見られる場合は誤嚥性肺炎に繋がり兼ねないため注意が必要です。 -
嚥下反射惹起遅延
嚥下反射惹起遅延(えんげはんしゃじゃっきちえん)とは、嚥下反射誘発部位に食べ物や飲み物と認識される物や感覚があった時の反応に遅れがあることです。
嚥下反射惹起では、物を摂取してからの流れに着目していきます。
1.嚥下反射誘発部位に刺激が加わる
2.刺激が延髄の嚥下中枢に達する
3.口唇・舌・咽頭・喉頭の筋肉が反射的に動き、食べ物を食道に送り込む
この流れに遅延が認められた場合は、気管が塞がれて窒息してしまうなどの恐れがあるため、注意しなければなりません。 -
着色水残留
少量のとろみのついた飲料水(ゼリーなど)や着色水を飲んでいただき、喉頭の動きやむせることがないかどうかを確認していきます。
むせは誤嚥性肺炎のリスクに繋がるため、咽頭の動きやむせが認められる場合は、早めに対応していきましょう。